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ご案内
丸の内ビジネス専門学校(1948年創立)に属する丸の内経営研究所は、常に時代の変化と課題に真正面から向き合い、企業や地域社会の持続的発展を支えるパートナーであり続けます。企業・自治体向け人材育成プログラムの提供、多文化共生の推進、外国人労働者の離職防止など、多様性を力に変える取り組みを通じて、現場の実情に根ざした支援を行っています。人と組織がともに成長するために、私たちは「学び」を起点とした実践的なソリューションを提供し続けます。
丸の内経営研究所 所長 小山 正広
~経営の視座~ SDじいじ
2026.1.29 地域密着とは?
「地域密着」という言葉ほど、使うのは簡単で、証明するのが難しい言葉はない。企業の広告やホームページで、当たり前のように使われている「地域密着」という言葉。支店がある、営業所を構えている、地元に長くいる、それだけで、自社を地域密着企業だと位置づけているケースは少なくありません。
しかし、その評価を下すのは企業側ではありません。地域で暮らす人々と、日々接しているお客様です。地域の人は、思っている以上に冷静です。
経営者が考える「地域密着」と、地域の人が感じる「地域密着」には、大きなズレがあることがあります。地域の人は、こう見ています。
「この会社は、困ったときに本当に頼れるか」「自分たちの生活や事情を理解しているか」「都合が悪くなったら、簡単にいなくならないか」支店があるかどうかは、ほとんど評価の対象になっていません。看板やキャッチコピーよりも、過去の対応、姿勢、継続性を見ています。
地域の人から見て、「地域密着とは言えない」と受け取られてしまう例は少なくありません。拠点があるだけで、関わりがない。営業所はあるが、地域行事にも関心がなく、地域課題にも無関与。存在しているだけで、関係は築けていない。売る時だけ顔を出す。契約や販売の場面では「地元のために」と語るが、問題が起きた時や不都合な場面では距離を取る。サービスがどこでも同じ。地域性を語りながら、提供している内容は全国一律。地域特有の事情や背景は反映されていない。これらは、企業側が思う以上に、地域の人に見抜かれています。そして一度そう認識されると、「地域密着」という言葉は、むしろ不信感を生むラベルになります。
「地域密着」を掲げた瞬間、企業は試されます。本当にこの地域に必要とされているか、いなくなったら困る存在か、利益より先に、地域との関係を考えているか、これらに一つでも答えられなければ、地域密着という言葉は空虚になります。あえて、経営者に問いかけたい。あなたの会社は、地域の人からどう語られているだろうか?看板がなくなったとき、困る人はいるだろうか?「地域密着」と書かなくなっても、同じ評価を得られるだろうか?
もし胸を張って答えられないのであれば、地域密着という言葉を使う前に、行動を見直す必要があるのかもしれません。
地域密着とは、宣言するものではなく、結果として残るものです。地域の人が自然と名前を挙げ、困ったときに思い出す。その積み重ねがあって、初めて「地域密着」という評価が与えられます。言葉を使うのは簡単です。しかし、その言葉に見合うだけの行動と覚悟がなければ、地域密着は企業の信頼を高めるどころか、試金石になってしまいます。
(SDじいじ)
2026.1.22 本当に人手不足?
「人手不足だ」「採用しても人が集まらない」こうした声を、ここ数年あらゆる業界で耳にします。確かに、少子高齢化という大きな構造変化を考えれば、人材確保が簡単でないのは事実です。ただ一方で、本当に“人”が足りないのか、それとも“仕事の組み立て方”や“回し方”に問題があるのか、一度立ち止まって考える必要があるのではないでしょうか。
現在では、以前に比べれば人手不足感は多少改善してきています。それにもかかわらず、現場では相変わらず忙しさが解消されず、「人が足りない」という言葉だけが独り歩きしているケースも少なくありません。その背景には、形骸化した仕事や、目的を見失った業務が温存されている現実があります。
たとえば、前例踏襲で続けられている報告書、誰も読まない資料作成、承認のためだけに存在する会議。これらは本当に今も必要な仕事でしょうか。本来ならば見直されるべき業務がそのまま残り、現場の時間と労力を奪っている。その結果、「忙しい=人が足りない」という短絡的な結論に陥ってしまうのです。
また、悪い意味でのワークシェアリングも問題です。仕事を細かく分けすぎた結果、全体像が誰にも見えなくなり、責任の所在が曖昧になる。引き継ぎや確認に余計な手間がかかり、かえって非効率になるケースも多いでしょう。本来は生産性向上のための分業が、逆に人手不足感を増幅させてしまっているのです。
こうした状況の根底にあるのは、明確に経営者の問題です。仕事をどう組み立て、どう回すかは経営の責任であり、その判断や決断を先送りしてきた結果が、現場の「人手不足感」を生み出しています。人を増やす前に、仕事そのものを減らせないか、やり方を変えられないかを考える。それは決して現場任せにしてよいテーマではなく、経営の重要な役割です。
ただし、仕事の仕組みを変えることが万能薬であってはなりません。効率化や再編の名の下に、短期的な数字だけを追い、現場の声を聞かないまま改革を進め、従業員へ過度な負担を強いたり、安全や健康への配慮がおろそかになるのであれば、それは改革ではなく単なる責任放棄です。仕事の仕組みを見直す際にこそ、人の働きやすさや安心が守られているかを確認する。それができない経営者は、経営者として失格だと言わざるを得ません。
本当の意味で人手不足かどうかを見極めるためには、「人が足りない」という言葉を一度疑ってみること。無駄な仕事はないか、目的を見失った業務はないか。そこに目を向けるだけで、見えてくる景色は大きく変わるはずです。
人を集める前に、仕事を整える。その役割を担うのは、言うまでもなく経営者です。この順番を取り戻せたときに初めて、私たちは“本当の人手不足”と向き合えるのではないでしょうか。
(SDじいじ)
2025.10.27 林立するIT資産
クラウド、AI、SaaS、RPAなど、技術の進化は目覚ましく、企業は次々と新しいシステムを導入してきました。
しかし、その結果として、社内にそれらが林立し、全体像を誰も把握できない状態に陥っている企業が少なくありません。
本来、ITは経営を支える“手段”であり、目的ではありません。
目的を見失ったシステムは、やがてコストと複雑さを生むだけの「資産」に変わります。
便利そうだから、流行しているから、そんな理由で積み上げられたシステムは、企業の足かせにもなり得ます。
だからこそ、求められるのは経営者の見極める力です。
「この技術は自社の価値を高めるのか」「顧客にとってどの様な意味があるのか」。その問いに真正面から向き合う姿勢こそが、IT投資を“資産”から“戦略”へと変える鍵になります。経営者には、技術そのものを理解する力以上に、「選び、捨てる」判断力が問われています。
林立するIT資産の中で、本当に残すべきものは何か。
それを見極め、整え、活かすことこそが、これからの経営責任です。ベンダーやシステム担当の言いなりではダメです。
ITを育て活用するのは技術ではありません。経営の眼です。
(SDじいじ)
2025.07.30 企業のカスハラ対策について思う事
「顧客のハラスメントは許さない」と掲げつつ、社員の接遇スキルは低いまま、自社側の過失や不手際への自覚が乏しい、内部通報や従業員ケアの体制もない。
こうした企業姿勢はお客様からは「対話拒否」「責任回避」と捉えられ、かえって不信を招く可能性もあります。
本来あるべき対応
社内の接遇・品質向上をまず行う(経営者は現状を自身の目で確認する)。苦情とハラスメントの線引きを社内で明確にする。従業員を守る制度(カスハラ対応フロー、エスカレーション体制)をしっかり整える。その上で、毅然とした「宣言」や「対応方針」を示す。
(SDじいじ)
